夜と霧

★★★★★ヴィクトール・E・フランクル

強制収容所という極限状況における人間の心理を、心理学者である著者自身の体験から描いた一冊。

自分は、研究者時代に味わった精神的な苦しさを重ねながら読んでいた。極限を経た人の心の変容についての解説には、自分や周囲の人間の経験と重なって腑に落ちるものが多く、噛み締めるように読んだ。とりわけ、過酷な経験を経たからこそ「もはや神より他に恐れるものはない」という境地に至る、という記述。自分が起業家としてリスクを取れるのは、あの時期に精神的な苦痛を通り抜けたからだ——という自己分析と近いものを感じた。

「あなたが経験したことは、この世のどんな力も奪えない」というフランクルの言葉(p.138)は、逆境のただ中にいる人にとっての支えになる。困難な時期をくぐり抜けた経験そのものが、その後の自分を形づくる資産になる。そう受け取った。

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