個人的すぎる話は響かない

#プレゼン#コミュニケーション

まとめ

ここ数年、プレゼンや社内共有の場を通じて強く感じているのが、「個人的すぎる話はなかなか響かない 」ということです。
私自身、凝り性であれこれ深く語りたくなるタイプですが、それを全部ぶつけても聞き手は「そこまで詳しく知りたいわけじゃないんだけど…」と思ってしまうこともしばしば。結果、熱量はあるのに意図が伝わらず、空振りに終わることが多かったです。

そこで意識したのが、「伝えたいメッセージは1つに絞る」 という考え方。さらに、「自分の意見だけ」で完結させるのではなく、世の中の動向や事例をうまく使って説得力を高める。最後にちょっとだけ自分の視点を添える。それだけで話はぐっと通りやすくなるというわけです。


個人的すぎる話は共有しづらい

私も最初は「全部伝えたい!」と欲張ってしまいがちでした。新しい技術、研究の裏側、業界の動きなど、自分が面白いと思うことを出し切りたくなるんですよね。
でも、聞き手の立場からすると情報過多。どこに焦点を合わせればいいのか分からないまま、「話は面白そうだけど、結局何が言いたかったの?」となってしまう。アンケートを取っても回答率は低く、アクションにもつながらない。これは実にもったいないことだなと痛感しました。

そこから、まずは**「本当に伝えたいテーマは何か?」** を明確にするようにシフトしました。どうしても捨てがたい情報がある場合も、一度は全部書き出してからバッサリ削る。そして、最後に「これだけは必要」と思う部分を戻す。そうすると、不思議なくらいプレゼン内容がスッキリします。


参考事例:DeNAの南場さんも“世界”を引用して説得力を高める

「個人の意見だけで終わらせずに、世の中の動きを取り入れる」。これを私は**“世界を身につける”** と呼んでいます。
具体例として、DeNAの南場さんが「AIにオールインする」という方針を示したときの話があります。単に「AIを強化します」ではなく、Y Combinator(シリコンバレーの著名なスタートアップ支援組織)で、業界を問わずAIエージェントが続々と登場しているトレンドを引用して、「こんなに世界が動いているから、うちもAIへ大きくシフトするんだ」とアピールされていました。

【DeNA × AI Day || DeNA TechCon 2025】Opening Keynote

【DeNA × AI Day || DeNA TechCon 2025】Opening Keynote

これはつまり、「私がやりたい」ではなく、「世界でこういう動きが起きていて、私たちはそこに乗り遅れないよう舵を切る」というメッセージ。聞き手にとって「なるほど、これは大きな潮流なんだな」と納得しやすくなりますよね。自分だけが盛り上がっているわけではないという安心感が生まれるわけです。


メッセージは1つ、世界を引用、最後に個人の視点

以前の私は、スライドに技術的なトピックや細かな事例を何でも詰め込み、結果的に「ごちゃごちゃした印象で終わる」という残念なプレゼンを量産していました。でも今は、この3ステップを意識しています。

  1. メッセージは1つに絞る

    • たとえば「今期はAI Agentで新しい研究室のあり方を実現したい」というシンプルなテーマを設定。

    • 研究者こそAIエージェントで大きく変わる可能性がある、といった“1つの軸”を決める。

  2. 世界の事例を引用する

    • Sakana AIやGoogleの“AI Scientist”など、科学分野でもAIエージェントが取り入れられ始めている例を示す。

    • 「世界中でAI Agentが盛り上がっている。その中で科学者だけが例外ってわけじゃないですよね?」と説得力を補強。

  3. 最後に自社の取り組みをサラッと紹介

    • 「弊社では、この流れを踏まえて研究室のデータ管理や実験プロセスをAI Agentがサポートする実証実験を開始しました」と短く伝える。

    • あくまで具体例は“一例”として提示し、必要以上にディテールを語らない。メインは「何を目指したいのか」という全体像に集中する。


アンケート回答率が20% → 50~60%へ

以前のプレゼン

技術が好きすぎて、ついつい「このAIの仕組みがすごくて…」「研究のデータベースがこうなって…」と深いところまで全部説明していました。すると、プレゼン後のアンケート回答率は20%程度。「情報量が多すぎて頭に入りきらなかった」「結局どこがポイントだったのか分からない」「難しすぎた」という声が目立っていたんです。

手法の改善

そこで、上述の3ステップを実践。メインメッセージを1つに固定し、それを“世界の動向”で支え、最後に自分たちの事例をちょっと加える という構成に変えました。すると回答率は50~60%に上昇。「具体的に何をやりたいのかイメージしやすい」「この流れならウチでも応用できそう」「相談したい」と言われることが増えました。


なぜエッセンスだけでいいのか?

実は、聴衆の中で「もっと詳しく知りたい!」と思ってくれる人は5~10%くらい しかいません。講演やプレゼン後、そういう人たちは個別に声をかけてくれます。そのタイミングで深堀りすれば十分。逆に最初からマニアックな話を全面に出すと、ほとんどの人にとって敷居が高すぎて興味を持たれず、結果的に広い共感を得られません。

また、自分の取り組みを細部まで話しすぎると「うちには当てはまらないかも」と思われてしまいがち です。実際には、私たちが提供できるソリューションは多様なのに、特定の方法論だけをクローズアップすると受け口が狭く見えてしまう。だからこそ、「私たちが目指している世界観」と「考え方」をしっかり伝えるのが大事。具体例はあくまで“可能性の一つ”として紹介し、「こんな課題をお持ちなら、相談してもらえれば柔軟に対応しますよ」 と思ってもらうのがベストだと感じています。


まとめ:世界を身につけて、自分の声を通す

最後にもう一度、ポイントを整理します。

  1. 個人的すぎる内容は避け、メッセージは1つに絞る。

  2. “世界”を身につける

  3. 自社や自分の取り組みはあくまで一例として軽く紹介する。

  4. 詳しく知りたい人は必ず後で個別に声をかけてくれる。

こうするだけで、プレゼンや共有資料の反応が明らかに良くなりました。聞き手が「自分も一緒にやってみたい」「ウチの課題にも合いそう」と思えるかどうかは、“メインメッセージのわかりやすさ”と“世界に通じる必然性” にかかっていると実感しています。

もし今、「プレゼンで言いたいことが多すぎてまとまらない…」と悩んでいるなら、ぜひ試してみてください。要点を絞って世界とつなげ、最後にエッセンスだけの自社事例を添える。あとは興味を持ってくれた一部の人が、あとでしっかり聞いてくれるはずですよ。

ネタバラシ

本記事自体もChatGPT o1 proにてDeep researchで書いてもらいました。「AIで記事を書いてみました」という試みはもはや旬を過ぎ、寒い感じがしますが。今回の記事はプラスアルファの実験として行いました。

本記事の趣旨である「自分の伝えたいメッセージを著名人や世界の動向でサポートする」という手法について、サポーティブな内容をAIに集めさせられるか、と思いついたのがきっかけでした。

これが可能であれば、任意のメッセージについてそれなりに説得力のあるものにできるのでは、という期待がありました

結果ChatGPTが持ってきた事例はこじつけ感の強いものでした。

メッセージを補強する著名人のエピソードや言葉を探させたが…

メッセージを補強する著名人のエピソードや言葉を探させたが…

結局DeNAの南場さんの事例を取り上げました。このプレゼンは最近見た中では随一でワクワクしたのでぜひみなさんご覧いただければと思います。

もう少しの期間、自分で情報収集する必要がありそうですね。