AWS Elastic Beanstalk Docker -コンテナごとFlaskアプリをデプロイ-
前回は素のFlaskアプリケーションをデプロイしました。
今回はDockerコンテナを動かしてみます。
ちょうどAzure Web App for Containersと同じようなものです。
EC2より自由度は下がりますが管理が楽になり、
EBに単純にアプリケーションをデプロイするよりは自由度が上がります。
それなりに学習コストも高くなりますが、かけただけの時間を将来削減できると信じて勉強します。
今回は単一コンテナのDocker環境構築を行います。
目次
- 1 Elastic Beanstalkとは
- 2 EB CLIインストール
- 3 仮想環境の構築
- 4 サンプルアプリを作成
- 5 Dockerfile作成
- 6 ローカルで確認(Dockerコンテナイメージ作成)
- 7 Elastic Beanstalkを開始する
- 8 Elastic Beanstalkに環境を作成する
- 9 アプリケーションをウェブブラウザで確認する
- 10 アプリケーションをローカルで確認する
- 11 変更を反映する
- 12 SSH接続する
- 13 Nginxのファイルアップロード制限を解除する
- 14 不要になったリソースを削除する
- 15 おまけ
- 16 エラー集
- 16.1 Cannot setup CodeCommit because there is no Source Control setup, continuing with initialization
- 16.2 ERROR: Failed to build Docker image aws_beanstalk/staging-app: command ‘/bin/sh -c if [ -f /var/app/requirements.txt ]; then /var/app/bin/pip install -r /var/app/requirements.txt; fi’ returned a non-zero code: 1. Check snapshot logs for details.
- 16.3 ERROR: NotSupportedError – You can use “eb local” only with preconfigured, generic and multicontainer Docker platforms.
- 17 次回
- 18 参考
Elastic Beanstalkとは
Elastic Beanstalkではユーザはアプリケーションをデプロイするだけです。
ソースコードを自動でEC2に配置し、ウェブサーバを設定し、さらにロードバランサーやオートスケーリングなどの面倒もElastic Beanstalkが管理してくれます。
Elastic BeanstalkにDockerコンテナイメージをデプロイする場合は、EC2の中にさらにDockerコンテナを起動し、外部とのポートの接続を行ってくれます。
出展: How to Deploy Docker apps to Elastic Beanstalk · hopsoft/relay Wiki
詳しい説明は公式へ。
早速始めていきます。
EB CLIインストール
AWSマネジメントコンソールでポチポチやるのではなく、CUIでカタカタやっていきます。
EB CLIツールが必要になるのでインストールします。
詳細は公式へ。
brew install aws-elasticbeanstalk
仮想環境の構築
仮想環境を用意し、有効にします。
前回やったので詳しくはこちら。
pip install virtualenv virtualenv ~/YOUR_DIRECTORY source ~/YOUR_DIRECTORY/bin/activate
サンプルアプリを作成
とりあえず動かしたい人はこちらのREADMEに従えば動くはずです。
自分で作りたい人は続きへ。
適当なディレクトリを作成しapplication.pyを作成します。
(ファイル名はapplication.pyにしましょう。WSGIが見てるので)
mkdir my-app cd my-app vi application.py
application.pyはこんな感じ。
from flask import Flask app = Flask(__name__) @app.route('/') def hello_world(): return 'Hello World!' if __name__ == '__main__': app.run()
requirements.txtを作成します。EB内ではこのファイルを元にライブラリをインストールします。
多ければデプロイに時間がかかるので余計なものは入れないようにしましょう。
プロジェクトのディレクトリ毎に仮virtualenvで仮想環境を作るのがいいと思います。
とりあえず今回のrequirements.txtには、flaskとだけ記入しましょう。
echo flask > requirements.txt
Dockerfile作成
今回は単一のDockerコンテナを利用するため、公式の以下のページを参考にします。
EBに乗せるDockerコンテナに関しては、AWS Elastic Beanstalk Docker ベースイメージを使用する必要があります。
公式の案内では書いていませんでしたが、EXPOSEオプションがないと怒られます。
FROM amazon/aws-eb-python:3.4.2-onbuild-3.5.1 EXPOSE 8080
Pythonのバージョンは3.4なので依存関係がある場合は注意してください。
amazon/aws-eb-python:3.4.2というコンテナイメージを作っているDockerfileはおそらくこちらのGithubで公開されているものです。多分。
一応Officialと書いていますが、AWS側からのリンクがないので利用は自己責任で。
どうしても別バージョンが使いたかったらDockerfile内で設定すれば使えるんでしょうか?ご存知の方がいたら教えてください。
ローカルで確認(Dockerコンテナイメージ作成)
docker build
コマンドでイメージを作成し、
docker build -t my-app .
runコマンドで試しにローカルで起動してみます。
コンテナは8080番経由でアプリケーションを公開しています。
docker run -it --rm -p 3000:8080 my-app-image
ブラウザからhttp://localhost:3000/にアクセスしてみましょう。
お馴染みの文言が表示されればOKです。
公式にはDockerfileからDockerfile.localにファイル名を変更するように書かれていましたが、不要です。
むしろDockerfile.localにするとElastic Beanstalkが認識しなくなります。
eb init
していれば以下のアプリケーションをローカルで確認するのようにeb local run
コマンドで確認できます。
Elastic Beanstalkを開始する
eb init --prifile YOUR_PROFILE
Elastic Beanstalkデプロイに関してはこちらを参照にしてください。
適当に質問を答えていくと、素のFlaskプロジェクトでは聞かれなかったことを聞かれます。
Dockerfileを認識したようですね。
Select a default region 1) us-east-1 : US East (N. Virginia) 2) us-west-1 : US West (N. California) 3) us-west-2 : US West (Oregon) 4) eu-west-1 : EU (Ireland) 5) eu-central-1 : EU (Frankfurt) 6) ap-south-1 : Asia Pacific (Mumbai) 7) ap-southeast-1 : Asia Pacific (Singapore) 8) ap-southeast-2 : Asia Pacific (Sydney) 9) ap-northeast-1 : Asia Pacific (Tokyo) 10) ap-northeast-2 : Asia Pacific (Seoul) 11) sa-east-1 : South America (Sao Paulo) 12) cn-north-1 : China (Beijing) 13) us-east-2 : US East (Ohio) 14) ca-central-1 : Canada (Central) 15) eu-west-2 : EU (London) (default is 3):3 Select an application to use 1) EXISTING_PROJECT 2) EXISTING_PROJECT 3) [ Create new Application ] (default is 3): 3 Enter Application Name (default is "my-app"): my-app Application my-app has been created. It appears you are using Docker. Is this correct? (Y/n): Y Select a platform version. 1) Docker 17.06.2-ce 2) Docker 17.03.2-ce 3) Docker 1.12.6 4) Docker 1.11.2 5) Docker 1.9.1 6) Docker 1.7.1 7) Docker 1.6.2 8) Docker 1.5.0 (default is 1): 1 Cannot setup CodeCommit because there is no Source Control setup, continuing with initialization Do you want to set up SSH for your instances? (Y/n): Y Select a keypair. 1) YOUR_KEY_PAIR 2) YOUR_KEY_PAIR 3) [ Create new KeyPair ] (default is 2): 1
CodeCommitについて① gitなどでソース管理していない場合
以下の質問をされます。Yで答えると引き続きkeypairについて聞かれます。
Cannot setup CodeCommit because there is no Source Control setup, continuing with initialization Do you want to set up SSH for your instances? (Y/n): Select a keypair. 1) YOUR_KEY_PAIR 2) [ Create new KeyPair ] (default is 1):
CodeCommitについて② gitなどでソース管理している場合
AWSのCodeCommitを使うかどうか聞かれます。
デフォルトではno、つまり自分が使っているGithubなどを引き続き使用します。
この場合はkeypairについて聞かれません。
Note: Elastic Beanstalk now supports AWS CodeCommit; a fully-managed source control service. To learn more, see Docs: https://aws.amazon.com/codecommit/ Do you wish to continue with CodeCommit? (y/N) (default is n): n
Elastic Beanstalkに環境を作成する
環境を作成し、開きます。
eb create YOUR_ENV_NAME
しばらく実行ログが出力されます。
アプリケーションをウェブブラウザで確認する
環境の作成が完了したら、以下のコマンドでウェブブラウザを開きます。
5秒ぐらいかかるので待ちます。
eb open
アプリケーションが動いているのがわかります。
WebサーバがDockerfileで公開した8080番ポートに繋いでいる感じです。
多分。若干のブラックボックス感が怖いですが。ひとまず動かすことができました。
公式の情報に不足があったのでこちらがかなり参考になりました。
アプリケーションをローカルで確認する
eb local run
コマンドでローカルで確認することができます。
内部処理的には普通にDockerコンテナbuildしてrunしてるっぽいです。
eb local run --port 8080
2,3分待ったらブラウザでアクセスしてみます。
確認が終わったらcmd + c
で終了。
初回こそ時間がかかりますが、2回目からは迅速に確認できます(Docker側の設定をいじっていなければ)。
変更を反映する
その後アプリケーションや設定ファイルを変更した場合、反映するにはeb deploy
コマンドを用います。
eb deploy
古い情報だとgit aws.push
などが紹介されていますが、こちらは廃止になりました。
SSH接続する
Elastic Beanstalkが管理しているEC2インスタンスにSSH接続する
Elastic BeanstalkはアプリケーションをEC2インスタンスで動かしています。
eb ssh
コマンドでSSH接続することが可能です。
eb ssh
デプロイ周りでこけている場合はこの中のログを漁ってみると原因が掴めるかもしれません。
(ちなみにデプロイ時のログはAWSマネジメントコンソールでも確認できます)
EC2が起動しているDockerコンテナに入る
Elastic Beanstalk Dockerでは、EC2の中でDockerコンテナがアプリケーションを動かしています。
出展: How to Deploy Docker apps to Elastic Beanstalk · hopsoft/relay Wiki
すなわち、アプリケーションの実行環境を確認するためにはEC2にSSH接続したのちDockerコンテナに入る必要があります。
docker ps
でコンテナIDを取得します。
# docker ps CONTAINER ID IMAGE COMMAND CREATED STATUS PORTS NAMES 2181f0bf271e b7b9beb74e15 "/uwsgi-start.sh" 14 hours ago Up 14 hours 8080/tcp youthful_heisenberg
docker exec
コマンドでDockerの中に入りましょう。
docker exec -it 2181f0bf271e bash root@2181f0bf271e:/var/app# ls
すると/var/app/
に自分がデプロイしたアプリケーションが配置されていることがわかります。
また、このディレクトリにはbin/
ディレクトリが新たに追加されています。これがユーザがrequirements.txtで定義したライブラリをインストールしたPython仮想環境です。
DockerのPython環境を確認する
/var/app/
ディレクトリにあるbin/
ディレクトリを使って仮想環境を有効化します。
root@2181f0bf271e:/var/app# source bin/activate (app)root@2181f0bf271e:/var/app#
pipによるライブラリの管理状況を確認してみます。
requirements.txtに定義した通りのライブラリがインストールされているはずです。
pip freeze EB==0.1.5 Flask==0.12.2 Jinja2==2.10 ....
Flaskのログを見る
ローカルのDockerコンテナで問題なく動いていればebでも問題なく動くはず、というかそれがDockerで開発するメリットのはずですが、現実は無情である。
ローカルでは動いていたのにebでは動かないときはサーバのFlaskのログを見たくなりますよね。
amazon/aws-eb-python:3.4.2-onbuild-3.5.1イメージのDockerfileを見てみると、/var/log/uwsgi/uwsgi.log
にuWSGIのログを吐いていることがわかります。
上記の方法でDockerコンテナまで入ったら、tail
コマンドでログを見ましょう。
tail -f /var/log/uwsgi/uwsgi.log
これでアプリケーションにアクセスすればログが取れます。
Nginxのファイルアップロード制限を解除する
Nginxに対するファイルアップロードは制限値が設けられています。
client_max_body_sizeで定義され、デフォルトでは1MBです。
/etc/nginx/nginx.conf
に設定を追記することで制限を解除できますが、Elastic Beanstalk Dockerの場合デプロイの度に初期設定に戻されてしまいます。
Elastic Beanstalkでは.ebextensions/
ディレクトリに設定ファイルを配置することでソフトウェアの設定を変更できます。
詳しくは公式を。
アプリのディレクトリに.ebextensions/
ディレクトリを作成して.config
拡張子のファイルに以下の記事のように記述をすればアップロード制限が10MBになります。
files: "/etc/nginx/conf.d/client-max-body-size.conf": mode: "000644" owner: root group: root content: "client_max_body_size 10m;"
不要になったリソースを削除する
Elastic Beanstalkにデプロイする際、ソースは一旦S3にzip形式で保存されます。
これらのファイルはデプロイの度に作成されますが、eb terminate
コマンドやAWSマネジメントコンソール上での環境やアプリケーションの削除を行っても残ります。
大きなプロジェクトをデプロイするときはS3を逼迫していないか注意しましょう。
おまけ
Githubにcloneしてそのまま使えるリポジトリ公開しました。
多分なかったと思うので。他に公開してあったら消すので教えてください。
使い方はREADMEに書いておきます。
エラー集
Cannot setup CodeCommit because there is no Source Control setup, continuing with initialization
作成済みのebプロジェクト内の.git/ディレクトリを途中で削除した時などに発生します。
改めてgit init
するなり、元のgitの設定を復元しましょう。
ERROR: Failed to build Docker image aws_beanstalk/staging-app: command ‘/bin/sh -c if [ -f /var/app/requirements.txt ]; then /var/app/bin/pip install -r /var/app/requirements.txt; fi’ returned a non-zero code: 1. Check snapshot logs for details.
requirements.txtを用いたpipインストールでエラーが発生しています。
eb local run
を行うとより詳細な原因がわかります。
どうやらgrpcioのインストールでこけているみたいです。
No distributions matching the version for grpcio==1.8.2 (from -r /var/app/requirements.txt (line 23)) Storing debug log for failure in /root/.pip/pip.log The command '/bin/sh -c if [ -f /var/app/requirements.txt ]; then /var/app/bin/pip install -r /var/app/requirements.txt; fi' returned a non-zero code: 1 ERROR: CommandError - None
該当の部分をコメントアウト。
改めてeb local run
。Dockerの起動まではできました。
しかし、コメントアウトしたライブラリを捨て置くわけにもいきません。
docker exec
コマンドでコンテナに入り、source bin/activate
で仮想環境に入ります。
件のライブラリをインストールしてみます。
pip install grpcio Requirement already satisfied (use --upgrade to upgrade): grpcio in ./lib/python3.4/site-packages Requirement already satisfied (use --upgrade to upgrade): six>=1.5.2 in ./lib/python3.4/site-packages (from grpcio) Requirement already satisfied (use --upgrade to upgrade): protobuf>=3.5.0.post1 in ./lib/python3.4/site-packages (from grpcio)
どうやら既にインストール済みのようです。
requirements.txtにはgrpcio==1.8.2
と書かれていましたが、こちらはどうでしょう。
pip freeze | grep grpcio grpcio==1.8.1
どうやらDocker内のpipでは1.8.2を認識していないため、そんなバージョンはないと怒られていたみたいですね。
Dockerfileでpipのアップデートを指示できますが、amazonのコンテナイメージを使っており、どうやらrequirements.txtを読み込む方が早そうです。
requirements.txt内の記述をgrpcio==1.8.2
からgrpcio==1.8.1
に変更しました。
eb local run
で確認したのち、eb deploy
で解決しました。
ERROR: NotSupportedError – You can use “eb local” only with preconfigured, generic and multicontainer Docker platforms.
久しぶりにEBプロジェクトでeb local run --port 8080
を実行したらエラーが発生しました。
単一のコンテナでは実行できない?できなくなった?以前はこのプロジェクトを使ってローカルで確認できていたと思うんですが。。。
こうして記事にも残っているし。
謎ですが。調査して追記します。
次回
そもそもなんでこんなことになったかと言うと、
Flaskアプリケーションに全文検索使ったオートコンプリートを導入したい!
Elasticseachがいいらしい!使ってみよう!
Python環境でEC2で作りたくない!Elastic Beanstalkでお手軽デプロイだ!
EBでElasticsearchどうやって動かすん?
Elastic Beanstalk Dockerならいけるんでは!?(見切り発車)
って感じです。
Elastic Cloudも考えたけど、高い。パッと作るアプリに月45$も払えない。
これ調べてるうちに色々知ることができたので別の方法でデプロイするかもしれませんが、勉強ということで。
選択肢としては、こんな感じ
Flaskアプリケーション
- AWS EC2: 環境構築が面倒、使い回せない、諸々の設定を自分でしなくてはいけない
- AWS Elastic Beanstalk: 楽チンだけど、あまりいじれない、諸々AWSが管理してくれる
- AWS Elastic Beanstalk Docker: Dockerfileに記述できるのでInfrastructure as Codeが実現できる
- AWS Elastic Container Service: EB Dockerより自由度が高い
検索エンジン
- Elasticsearch: Flaskと同一サーバ内にインストール、多分一番早い、EC2でもEB Dockerでもそこそこ設定が面倒そう
- Ealstic Cloud: $45/月、高い
- Amazon Elasticsearch Service: $13/月ぐらい(一番安いインスタンスで)
- Algoria: 10Kレコードまで無料
参考
- Elastic Beanstalk で Docker を動かしてできることまとめ – Qiita
- 単一コンテナの Docker 環境 – AWS Elastic Beanstalk
- 事前設定された Docker コンテナの使用を開始する – AWS Elastic Beanstalk
- Docker コンテナのトラブルシューティング – AWS Elastic Beanstalk
- Python, Docker and Amazon Elastic Beanstalk
- [AWS] [AWS Elastic Beanstalk] AWS Elastic Beanstalk のデプロイ環境と基礎知識 | UI/UX Design、フロントエンド系の技術に関する備忘録 | whiskers
- Linux サーバーでのソフトウェアのカスタマイズ – AWS Elastic Beanstalk
- Elastic beanstalk で大きいデータを POST したら nginx が 413 Request Entity Too Large – Qiita
- amazon web services – Increasing client_max_body_size in Nginx conf on AWS Elastic Beanstalk – Stack Overflow